top of page

CASE
ケーススタディ・事例
中国で若者に日本酒をブレイクさせた仕掛けがあった。中国のトレンド「今」をぶつけるTHE Hの提案とは
全日空旗艦店(株式会社ACD)
ANAホールディングスが出資している株式会社ACDの、中国大手ECプラットフォームアリババのEC立ち上げ・運営体制の構築、販売戦略の立案から、「生原酒ボトル缶シリーズ」をはじめとした中国輸出向けの商品開発のサポートを担当させていただきました。
中国大手ECプラットフォームアリババを始めとしてECサイトが濫立する中国では、新規参入の難易度は高く、大手ECプラットフォームの攻略なしに中国進出の売上を伸ばしていくことは困難です。また、ただモールに出店すれば売上を立てることができるわけではなく、現地でのEC運用体制の構築や、中国のトレンドを抑えた商品開発が必要になります。
今回はプロジェクトを共にしたACD代表取締役社長の古居 弘道様にインタビュー。当初抱えていた課題から本プロジェクトを振り返っていきます。
抱え続けていた販路拡大への課題

ー改めて本プロジェクトを開始するに至った背景・抱えていた課題について教えてください。
弊社は中国消費者向けのEC事業を2016年から準備を始め、2017年にスマートフォンアプリ「全日空海淘」を自社のECプラットフォームとしてリリースしました。ただ中国には大手サイトのアリババを始め既に数多くのECプラットフォームがあるため、当初から既に中国の市場に浸透しているECプラットフォームへの進出をし、販売チャネルを広げなければいけないという課題感を持っていました。
しかし当初は自社アプリで勝負していきたいという考えもあったため、まずは「全日空海淘」の展開に注力し、日本の大手化粧品メーカーなど、ブランドの誘致を進めるなど、ECプラットフォームとしての充実に注力していた状況でした。
ですが、サービス開始から3年ほど経った頃、自社ECのみで勝負していくことの限界と、中国の大手ECプラットフォームの圧倒的な市場の大きさを実感し、改めて業績を伸ばしていくには中国の大手ECプラットフォームへのチャネル拡大と攻略が必須だという結論に至り、会社としても中国進出の戦略の舵を切りなおしたのがきっかけでした。
日本と中国、双方ビジネスの視点を持つTHE Hに依頼
ー今回THE Hにご依頼頂いた理由を教えてください。
中国側のことも我々日本企業側のこともわかった上で提案をしてくれたのが1番の理由です。中国進出するときの難しさは、日本と中国でそれぞれのビジネスのやり方や商流が異なり、そこが上手く合致せずにすれ違いが起こってしまうことです。依頼する当初は、当社もグローバルビジネスをやっていく上で、まだ社内の足並みも揃わない状態だったので、プロジェクトを進める上で、会社の事情など汲み取ってもらう必要がありました。
そういった背景の中でお願いしようと浮かんだのがTHE Hです。代表の濱さんとはサービス立ち上げ時からの知り合いでした。「全日空海淘」に出店していただくメーカー誘致の営業していたのですが、濱さんも同じ業種だったので当時はライバル的な存在でしたね(笑)。濱さんはその頃から大手化粧品会社の商品を独占契約したりと、企業の中国進出のキーパーソンのような強い存在感がありました。
なので今回販路先を広げていこうとなった時に濱さんの力を借りようとお願いするに至りました。他の会社と比べてもTHE Hは最初の提案から、ダメなところや変えるべき部分をはっきりとストレートに指摘してくれ、変にこちらを立てるようなことはせず、「中国進出をどう攻略するか」というビジネスに対して真摯に向き合ってくれている姿勢を感じました。
ここまでストレートに提案をぶつけてくれる会社は他にはありませんし、THE Hと一緒にビジネスをやっていこうと決断しました。
現地企業との調整からトレンドに合わせたマーケティング戦略を幅広く提案
ーTHE Hに依頼してからはどのように事業を進めていきましたか?
アリババなどの中国の大手ECプラットフォームに売り場を展開していくためにはカスタマーサポートや配送のオペレーションの代行会社を利用する必要がありました。代行会社は現地の中国の会社を選択しましたが、日本と中国、それぞれ習慣や仕事の進め方が異なるので、どうしても現地法人との調整がうまくいかず、衝突してしまうこともあります。
THE Hの双方のギャップを埋める絶妙なさじ加減での調整やハンドリングは、日本と中国の両面のアイデンティティを持つ濱さんにしかない強みだと感じます。こちらの要望をただ一方的に訳して伝えるのではなく、相手が納得するよう調整役をにないながら、わたしたちの方が変わらなければいけない部分ははっきりと指摘してくれました。
代行会社の選定、現地法人との調整で体制を整えた後はどういう商品を中国市場で売っていくべきか、目まぐるしく変わる中国のECトレンドにどう対応していくかといった販売戦略を一緒に練っていきました。
THE Hは中国のトレンドの「今」を把握した提案を次々と持ってきてくれます。「アリババ一強が崩れ始めている」「メイドインジャパンだから売れる時代は終わった」「中国市場に向けて商品を作り変えていく必要がある」「Tiktok(中国では抖音)などの動画・ライブコマースを活用していくのが当たり前になる」。濱さんのリアルな言葉からなされる提案は多くの気づきをくれるのでより思い切った戦略が立てられると感じています。
モールで販売していたボトル缶の日本酒がブレイク。最多販売記録を更新

ー実際にどのような商品を売ることになりましたか?
日本酒です。日本では当たり前だった一升瓶や700ml瓶ではなく、思い切って200mlの小さいボトル缶で販売することで、機能的なベネフィット(飲んで鞄に入れられるとかキャンプに持っていって温めて飲めるなど)を重視することで中国の若者に刺さるのでは?という仮説を立て、日本盛様と協議を重ねたうえで、同社のプロダクトである「生原酒ボトル缶シリーズ」を選択、2020年6月に自社ECの「全日空海外旗艦店」で試験販売を行ったのですが想定以上の反響がありました。
中国の若者のSNSでの反応は凄まじく、2020年11月に毎年行われる中国W11(独身の日)に向け、日本盛様から中国オンラインでも独占契約を締結し、同商品を本格的に販売していくことになりました。

ー今回オンライン販売だけでなく、オフラインからのアプローチにも取り組まれてたとお伺いしました。
はい。中国では日本と違いオフラインよりも先にネット販売のほうが普及しているのでEC販売の強化は必須なのですがお客さんが欲しい商品を買いたい時に買える状況にしておく必要があるというアドバイスを頂いて、オフラインでの販売も進めることになりました。
その第一弾として、中国最大級の輸入博覧会のJETROブースに「全日空海外旗艦店」で取り扱う日本酒を出店しました。他にも中国で若者に人気のバーとコラボして日本酒の試飲イベントを開催し、幅広い層に日本酒の魅力を伝えられる場となりました。
これらのイベントもTHE Hが企画からバーとの交渉などほとんどの部分を取り持ってくれました。中国との強いネットワークを持つTHE Hの協力があったからこそ実現できたイベントだと思っています。
参考:中国最大級の輸入博覧会のJETROブースに出展 老舗酒造メーカーの海外展開をITで支援、中国市場への進出を促進
ー結果どのような反響がありましたか?
予想を遥かに超える反響がありました。アリババのTmall天猫国際内では2020年の11月11日に「ダブルイレブン」という中国のEC通販の祭典があるのですが、24時間で5,000本以上、2ヶ月間で2万本以上も売り上げました。
日本酒というと日本国内では大きな一升瓶に入ってお店に並ぶ姿をイメージされると思いますが、Tmallを利用するユーザーの半分は30代以下の若い世代です。日本酒にまだ馴染みもなく、瓶だとなかなか手を出しづらい。ですが、中国の若者の間では度数が比較的低いお酒をカッコよく飲むという文化が生まれつつあり、日本酒はその文化の中に踏み込んでいける潜在力があるのではないかという読みがありました。
そこで手軽かつラベルがおしゃれで、手に持って写真を撮ってシェアしたくなるような小柄なサイズの「生原酒ボトル缶シリーズ」として商品を開発し、販売したのですが、バーでのイベントの相乗効果もあって予想以上の反響がありました。
反響は今でも続いていてありがたいことにメーカー様からも長期の独占契約を改めて頂いて、より「生原酒ボトル缶シリーズ」のプロモーション展開を進めています。
THE Hが中国の若者のトレンドなどを敏感にキャッチして「これで勝負したらいけるかもしれない」と提案してくれたからこそ、大きく挑戦できてしっかり結果も出すことができました。本当に感謝しています。
地方のコンテンツの魅力を中国市場に発信していきたい
ープロジェクトを振り返って、THE Hに依頼して良かったと思うことを教えてください。
一言で言うと楽しいです(笑)。THE Hと一緒に取り組むことで中国の本当のリアルな最新トレンドを掴めるので、ひとりのビジネスマンとして刺激を受けるというのもありますし、どんな商品がヒットするか検証フェーズから、鋭い実弾を撃ちながら一緒に取り組めて、さらに成果まで出ているのでとてもありがたいです。
先の生原酒ボトル缶の実現も、濱さんも一緒になって酒蔵を訪問しながら、真のヒット商品を目指して、顧客である酒蔵さんにも厳しいことも一生懸命意見してくれたからこそ実現できたことです。ヒット商品を生み出すという経験もできたというのは、今後の中国戦略においても良い方向性を示して頂いたなと感じています。
ー今後の展望があればお聞かせください。
今回ひとつの成功例となった日本酒を皮切りに、一風変わった食品や飲料を扱っていきたいと思っています。化粧品などは既に多くの会社が扱っていて、レッドオーシャンとなっています。今回の日本酒でその可能性を実感したのですが、日本の地方にある魅力的な食品や伝統的な工芸品など日本の真に力のある、世界に他にない商品を進出させていきたいですね。
地方には魅力的かつ高品質食品や名産品が多くありますが、もし、地方の生産者さまが自力で中国に輸出するためには冷凍・冷蔵の保税を確保に投資が必要ですし、売り方のノウハウがなければなりません。ACDはこれから、地方の各都道府県の生産者さまの架け橋となって、中国でビジネスを成功させられる仕組みを提供していきたいと考えています。
もう1つはこれから立ち上げる、ACDの中国支社の基盤づくりです。これまでは越境ECという形で、あえて中国法人を作らずに、中国市場を攻略する0→1のフェーズを行ってきましたが、1を生み出すことができた今は、現地法人を立ち上げ、現地で優秀な人材をリクルーティングしたり、中国市場の中からリアルタイムにマーケティングを行うことで、10→100にするようなの取り組みを行なっていきたいと考えています。
中国では現在、オンラインとオフラインが融合した『ニューリテール』という概念が進んでいます。ですから、これまでの越境ECの強化と現地オフラインでのマーケット強化。この2つを組み合わせてマルチチャンネル化していくことがこの先の目標です。
弊社としても、現地法人の立ち上げという重要な局面に入ってきているので、今後もTHE Hの力を借りながら、より事業を加速していきたいです。
bottom of page